株式投資型クラウドファンディングの調達上限、5億円に拡大|2026年に何が変わったか

結論:日本の株式投資型クラウドファンディング(ECF)で、発行会社(起案者)が1年間に調達できる金額の上限が、1億円未満から5億円未満へと拡大されました。日本初のECFであるFUNDINNOは2026年1月10日に新上限への対応を公式発表しており、すでに実務で動きはじめています。 この記事は「何が変わったのか・いつ変わったのか・支援者(投資家)にとって何を意味するのか」を中立に整理します。リスクの詳細は別記事の株式投資型クラウドファンディングのリスク・デメリットに譲り、ここでは制度変更そのものに絞って解説します。
何が変わったのか:発行会社側の上限
日本証券業協会(JSDA)の公式ページは、現在(2026年7月時点)の上限を次のように明記しています。
「同一の会社が資金調達を行うことができる金額は、1年間に5億円未満です。」
これは以前の「1億円未満」から大幅に引き上げられた数字です。日経新聞は2024年11月28日の報道で、金融庁が発行上限を1億円から5億円へ引き上げる方針であり「来春にも施行」と伝えており、実際のFUNDINNOの公式IR noteも「2025年2月に改正金融商品取引法(金商法)が施行」したと述べています。日経の予想とFUNDINNO自身の発表は時期的に一致しており、信頼できる経緯です。
最初に対応したプラットフォーム:FUNDINNOの例
法令上の上限が引き上がっても、各プラットフォームが実際に新上限での取扱いを開始するには社内体制の整備が必要です。FUNDINNOは公式IR noteで「法改正への対応で、1社あたりの調達上限が5億円に拡大」と、2026年1月10日付けで発表しました。つまり、法律上の上限は2025年に引き上がっていたものの、実際のプラットフォームでの運用開始は2026年に入ってからという时間差がありました。日本証券業協会のルール・規則のページも直近(2026年6月16日)改正されており、制度面の整備は今も進行中です。
投資家(支援者)側の上限は?「200万円」の誤解を解く
引き上げは発行会社側だけではありません。JSDAは投資家個人の年間投資上限についても次のように明記しています。
「1人の投資家の方が株式投資型クラウドファンディングを通じて投資できる金額は、同一の会社が発行する株式につき年間200万円を超えない範囲において投資者の財産の状況に応じた額又は50万円のいずれか高い額です。」
つまり、基本は50万円で、投資家の財産状況を踏まえた判断があれば最大200万円まで引き上げられるという仕組みです。「誰でも一律200万円まで投資できる」という意味ではありません。実際、FUNDINNO自身の公式FAQ(「1社あたりの年間投資上限額」)では「投資家様お一人あたり、1社につき1年間に50万円までご投資が可能です」としており、本記事執筆時点(2026-07-24)では50万円が標準のままです。200万円までの引き上げは制度上の上限であって、自動的に適用される数字ではない点に注意が必要です。
これは「安全になった」という意味ではない
発行会社がより大きな金額を調達できるようになったということは、その企業がより安全だということを意味しません。元本を失う可能性、売りたくても売れない非流動性、希薄化といったリスクは、上限額の大小に関係なくすべての案件に共通して存在します。むしろ、調達額が大きいからといって安心してしまうこと自体が新しいリスクとも言えます。各案件の判断は、調達額の大小ではなく事業計画やリスク開示書を実際に読んで行うべきです。リスクの全体像は株式投資型クラウドファンディングのリスク・デメリットに、他のクラファン型との違いはクラウドファンディングの種類・違いにまとめています。
免責事項
本記事は情報提供のみを目的とし、特定の金融商品・プラットフォーム・案件への投資を推奨または非推奨するものではありません。株式投資型クラウドファンディングは元本が保証されない金融商品であり、投資判断は必ず自己責任で行ってください。制度・上限額・各社の運用は将来変わりうるため、実際に投資を検討する際は日本証券業協会・金融庁・各事業者が公表する最新の公式情報(契約締結前交付書面を含む)を必ずご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。

